「エアコンってアルコールで掃除してもいいのかな?」
アルコールには除菌効果があるため、エアコン掃除に使えばカビ対策になると考える方も多いのではないでしょうか?
しかし、アルコールを使ってエアコンを掃除することは、非常に危険です。
本記事では家業でエアコン工事に携わる筆者が、アルコールでエアコンを掃除してはいけない理由について解説します。
アルコールを使わずにエアコンを清潔に長く使うコツも紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
エアコン掃除にアルコールがNGな理由
エアコンをアルコールで拭けば、きれいになってさらにカビなどの予防にもなりそうですよね。
なぜアルコールを使ってエアコンを掃除してはいけないのでしょうか?
掃除の前に知っておくべき3つの大きな理由があります。
- 内部配線の劣化や金属の腐食がおこる
- フィルターが傷む
- 発火する可能性もある
内部配線の劣化や金属の腐食がおこる
エアコンをアルコールで掃除すると、エアコン内部にある部品などを破損する恐れがあります。
アルコールには強い溶解作用があるため、ゴムや樹脂、金属を腐食させてしまうのです。
熱交換器の役割をしているアルミフィンが腐食すると、エアコンの性能低下や故障につながります。
また、内部の配線を覆う電線被覆が傷んで電線が露出すると、火災などの原因になることも。
高額な費用が必要になる修理や買い替えになることが多いため、アルコールを使わないようにしましょう。
フィルターやエアコン本体が傷む
フィルターにアルコールを吹きかけると、フィルターが傷んだり破れたりする可能性があります。
アルコールは、室内機に使われているプラスチック素材も劣化させたり溶かしたりすることがあるのです。
エアコンの吹き出し口などに使われているABS樹脂は、何度も繰り返しアルコールを使い続けることで小さなひび割れが起きやすくなります。
また、フィルターは非常に細かい網のため、アルコールの成分が隙間に入って残ってしまいがちです。
残ったアルコールは室内機内部に広がって、本体全体を傷めてしまうケースも。
「カビが生えないように除菌しよう」とフィルターにアルコールを吹きかける人がいますが、エアコンを長く使いたい人にはおすすめできません。
(参考:エアコンサポートセンター)
(参考:株式会社マルキチ)
(参考:phile web)
発火する可能性もある
エアコンをアルコールで掃除すると、最悪の場合発火してしまう恐れもあります。
アルコールは引火性が高いため、エアコン内部の電気から発火するケースがあるのです。
エアコンは精密機械で、内部には電気部品がたくさん配置されています。
フィルターや内部にアルコールが残っている状態で通電すると、エアコンが原因で火災になることも。
エアコンからの火災については、NITEからも注意喚起されています。
(参考:独立行政法人製品評価技術基盤機構)
エアコンを長く清潔に使う6つのコツ
エアコンの内部にはカビが発生しやすく、故障やにおいなどの原因になります。
本体や設置工事が高額になることも多いエアコンは、なるべく長く清潔に使いたいものですよね。
そこでアルコールを使わずにカビ予防をする方法など、エアコンを長持ちさせるために大切なコツを6つ紹介します。
- 定期的にダストボックス・フィルター掃除をする
- 空清フィルターを交換する
- 内部クリーン運転を使う
- 掃除は業者に依頼する
- 室外機周辺を整える
- 設定温度を適切にする
定期的にダストボックス・フィルター掃除をする
エアコンを長持ちさせるためには、定期的にダストボックスやフィルターを掃除するようにしましょう。
フィルターやダストボックスを清潔に保てば、室内機内部に汚れが溜まりにくくなります。
自動フィルター掃除をした際のゴミを溜めるダストボックスやフィルターは、手軽に自分で掃除できるようになっています。
掃除をせずに放置すると、ダストボックスがあふれて自動掃除機能が故障したり、フィルターや内部まで埃やカビだらけになってしまうことも。
こまめに掃除することで、エアコンを長く清潔に使えて節約にもつながります。
空清フィルターを交換する
エアコンフィルターに付属している空清フィルターを交換するのも、エアコンを長持ちさせるコツです。
空清フィルターはフィルターの内側に付いているカートリッジやフィルター状のもので、脱臭や抗菌効果があります。
しかし実は脱臭や抗菌できるフィルターには有効期限があり、期限が過ぎたら交換する必要があるのです。
交換せずに放置していると効果を得られないだけでなく、空清フィルターにカビが生えてしまうことも。
空清フィルターがあるエアコンの場合は、有効期限内に新しいフィルターに交換するとよいでしょう。
内部クリーン運転を使う
エアコンを長持ちさせるには、内部クリーン運転をしっかり使うのがおすすめです。
内部クリーン運転は、エアコンを停止した後に内部を乾燥させるために送風や微弱な暖房運転を行います。
運転中に発生した内部の結露水を乾燥させるため、カビの発生予防効果が期待できるのです。
エアコン内部のカビや汚れの溜まり方をかなり遅らせることができるため、きれいな状態を維持しやすくなります。
内部クリーン機能が付いていないエアコンの場合は、1時間~2時間送風運転を行うと同様の効果が得られるので試してくださいね。
掃除は業者に依頼する
フィルター以外の掃除は、プロのエアコン清掃業者にお願いしましょう。
エアコンは精密機器のため、十分な知識のない人が内部を掃除すると故障する恐れがあります。
プロの清掃業者はエアコンを分解し、自分では掃除できない部分まで徹底的に掃除します。
電装部分などはしっかりと養生するなど対策を取るため、故障などのリスクも抑えられるのが大きなメリットです。
定期的もしくは汚れが気になるタイミングで、プロに清掃を依頼するとよいでしょう。
室外機周辺を掃除する
エアコンを長持ちさせるためには、室外機周辺を掃除することも効果的です。
室外機は室内の熱を放出するなどの役割があり、常に風を循環させています。
室外機の前面を塞ぐように植木などが置かれていたり、背面にゴミが張り付いたりすると、スムーズな運転ができなくなります。
エアコンに負荷がかかり、運転効率が落ちるだけでなく故障の原因になる恐れも。
実際に室外機背面に犬の毛がみっちりと張り付き、故障したケースもありました。
室内機と同じくらい室外機も大切なので、長持ちさせるためにはしっかりと掃除するようにしましょう。
設定温度を適切にする
エアコンを長持ちさせるためには、温度を適切に設定して使用しましょう。
設定温度を高くしすぎたり低くしすぎたりすると、エアコンに負荷がかかってしまいます。
環境省では、夏は室温を28℃、冬は20℃になるように温度設定することを推奨しています。
快適な室温になるように適切な温度に設定し、無理なくエアコンを稼働させるのが長持ちのコツです。
設定温度を1℃緩和すると、冷房で約13%、暖房時で約10%の消費電力が削減されると見込まれています。
また、過度な温度設定は室内機内部で結露水をたくさん発生させ、水漏れや内部でのカビ発生の原因になる恐れも。
近年は内蔵されているAIが、室温や周囲の環境に合わせて適切な運転をしてくれる機能が付いている機種もあります。
適切な温度設定は内部を清潔に保ち電気代の節約にもつながるため、設定温度の見直しを行ってみましょう。
(参考:環境省)
まとめ
エアコン掃除にアルコールを使用することは、一見カビ予防などに効果的に思えますよね。
しかしアルコールを使うと、エアコンの故障や発火などのトラブルが起きてしまう恐れがあるんです。
本記事では、家業でエアコン工事に関わる筆者がエアコン掃除にアルコールを使ってはいけない理由を解説しました。
エアコンを長くきれいに使いたい方は、本記事を参考にアルコールを使わずに掃除をしてくださいね。
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