日本のお葬式は、知人友人を呼んで盛大に見送る「葬儀」が一般的とされてきました。
しかし最近では、身内だけで執り行う「家族葬」を選択することが増えています。
本記事では、実際に家族葬を行った筆者の経験をもとに、家族葬の流れや知っておきたいマナーを説明します。
お葬式を家族葬で執り行いたいと思っている方は、参考にしてください。
家族葬とは?
家族葬とは、家族や近親者だけで催す「小さな葬儀」「簡素な葬儀」のこと。
新聞告知や町内会への告知はせず、呼びたい人にだけ声をかける葬儀スタイルです。
家族葬には、家族・親族・ごく親しい友人などが参列し、10人〜30人ほどで行うのが一般的です。
(参考書籍:家族葬ハンドブック・柴田典子)
家族葬の場合のお葬式の流れ
家族葬の場合のお葬式の流れはどのようになるでしょう?
「家族葬」でも「一般葬」でも、亡くなってから葬儀会社への相談・書類提出・葬儀の日程・故人を送る「湯灌」「納棺」通夜・葬儀は変わらず行います。
しかし、大きな違いが3つあります。
- 本人の希望を確認する
- お別れの時間・空間を大切にする
- 葬儀後の通知
詳しく説明します。
本人の希望を確認する
生前に確認が出来れば良いのですが、出来ない場合はエンディングノートなどで故人がどのような葬儀にしたかったのかを確認します。
どのような葬儀にしたいのか、誰を呼んでほしいのかなど、生前本人が希望していた気持ちを尊重するためです。
突然の死去・闘病生活で話しができない場合がありますが、故人がいつも口にしていた言葉などを思い出しながら、家族や親しい友人と共に弔いましょう。
筆者の父の場合は、闘病中に、呼びたい人・祭壇の花・お棺・死装束まで本人が決めました。
(参考書籍:小さなお葬式・北村香織)
お別れの時間・空間を大切にする
家族葬では、故人とのお別れの時間・空間を大切にできます。
家族葬は規模が小さく参列者の数が少ないので、一般葬と同じ流れで葬儀が進行しても、時間の余裕が十分にあるからです。
葬儀の内容・段取りを家族で考え、葬儀社と話し合いながら決めていくので、自分たちの手で見送ったという実感をもつことができます。
(参考書籍:小さなお葬式・北村香織)
葬儀後の通知
家族葬にした場合には、葬儀の後1〜2週間のうちには、死亡を知らせる通知を出しましょう。
人は、一生の間に多くの人とかかわりをもちます。
通夜・葬儀を近しい人だけですませた場合は、家族葬を選んだ理由も記し、周囲の人にも故人の遺志を尊重した形であったことを納得してもらいましょう。
家族葬だからといって、訃報を知らせないと、気を悪くする人や気落ちする人がいるかもしれません。
ていねいな死亡の知らせを出しましょう。
(参考書籍:小さなお葬式・北村香織)
家族葬のメリット・デメリット
家族葬をするとき、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか?
メリット・デメリットそれぞれ説明します。
メリット
家族葬のメリットは、故人と親しかった人ばかりなので、思い出を共有しやすいことです。
その人らしい生き方があるように、人生の締めくくりのときも、自分らしく送ってもらいたいと願う人が多くなっています。
故人らしさを加味した葬儀は、故人の人となりに想いを馳せながらお別れできるということが、好まれるのです。
筆者の父の家族葬では、一緒に旅行に行った父の友人の話で、穏やかに見送ることができました。
(参考書籍:小さなお葬式・北村香織)
デメリット
家族葬のデメリットは、葬儀後の負担が大きくなる可能性があることです。
家族葬ということで会葬を遠慮していた人や、後に訃報を知った人が、葬儀後自宅へ弔問に訪れることがあります。
筆者の実家でも、父の葬儀の後、弔問客が数日間続いたと言ってました。
たいていは連絡があるはずですが、突然訪ねてくる場合もあるので、準備だけはしておきましょう。
(参考書籍:家族葬ハンドブック・柴田典子)
家族葬のマナー
家族葬を執り行う場合のマナーとは、どのようなことがあるでしょう?
ポイントは、3つあります。
- 香典
- 服装
- 葬儀に呼べなかった方への配慮
詳しく説明します。
香典
家族葬を執り行う場合のマナーは、香典です。
香典を受け取るか・受け取らないかをあらかじめ決めておくことです。
香典は、いったん辞退を決めたら、方針は変えないようにしましょう。
断れなくて受け取ってしまったり、人によって対応を変えたりすると、トラブルの原因になるからです。
(参考書籍:家族葬ハンドブック・柴田典子)
服装
家族葬を執り行う場合のマナーは、服装です。
死をいたむ気持ちをあらわす式服と、通夜・葬式・告別式を通して喪服を着用します。
以前は、和装のほうが正式礼装とされていましたが、いまは和装と洋装での格の上下はないので洋装が増えています。
(参考書籍:家族葬ハンドブック・柴田典子)
葬儀に呼べなかった方への配慮
家族葬を執り行う場合のマナーは、葬儀に呼べなかった方への配慮です。
親族の中に「あの人は呼ばれたのに、私は声をかけてもらえなかった」と疎外感を生むことになり、トラブルのもとになりかねません。
亡くなった知らせだけは、親族内には等しく流すほうがよいでしょう。
(参考書籍:家族葬ハンドブック・柴田典子)
まとめ
日本では、盛大に見送る「葬儀」が一般的とされてきましたが、コロナ禍によって身内だけで執り行う「家族葬」を選択することが増えています。
本記事では、家族葬を行った筆者の経験をもとに、家族葬の流れや知っておきたいマナーを説明しました。
お葬式を家族葬で執り行いたいと思っている方は、参考にしてください。
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