「自閉症の子供にはどのように接したらいいのだろう」
自閉症の子供と接する際、このように悩むことはありませんか。
自閉症の子供には様々な特性があり、行動が特徴的です。
そのため一人一人の特徴や必要なサポートを理解して接する必要があります。
誤った接し方をすると、子供の成長の妨げになりかねません。
一方で適切な接し方を理解していれば、子供とのコミュニケーションがスムーズになり、成長をサポートすることができます。
本記事では、自閉症の子供によく見られる行動や基本的な接し方、社会生活に必要なスキルなどを詳しくご紹介します。
自閉症の子供との接し方についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてくださいね!
自閉症の子供によくみられる行動
自閉症の子供には、よくみられる行動がいくつかあります。
まずはどのような行動があるのかを理解することで、接し方のポイントが掴めるようになります。
自閉症の子供によくみられる行動は以下の5つです。
- 人との関わりに関心がない
- 言葉が遅れている・独特な言い回しをする
- いつも同じ遊びをする
- 同じ状態ややり方にこだわる
- 感覚に無関心・または必要以上に反応する
詳しくみていきましょう。
人との関わりに関心がない
自閉症の子供は、他人と関わることにあまり関心を示さない場合があります。
これは「人との関わりを嫌がっている」のではなく、「どう関わればいいのかわからない」場合がほとんどです。
相手の表情や気持ちを読み取ることが苦手なため、適切な距離感が掴めないのです。
例えば、他の子供と一緒に遊ぶよりも、黙々と一人で遊ぶことを好みます。
呼びかけに反応しなかったり、目を合わせなかったりすることもあります。
このように、人との関わりに関心がない特性を理解しましょう。
言葉が遅れている・独特な言い回しをする
自閉症の子供は、言葉の面で発達が遅れていたり、独特な言い回しをしたりすることがあります。
成長がゆっくりであったり、他人との関わり方に困難があるためです。
独特な言い回しには、例えば以下のようなものがあります。
- 人が言ったことと同じことをそのまま繰り返す(おうむ返し)
- アニメなどのセリフをそのまま何度も繰り返す
- 声の高さやリズム、強弱が独特
- セリフや書き言葉のような話し方をする
このような独特な言い回しや、言葉の発達の遅れを理解しましょう。
いつも同じ遊びをする
自閉症の子供は、いつも同じ遊びを繰り返すことがよくあります。
特定の物へのこだわりが強い傾向があるためです。
例えば以下のような行動があります。
- ミニカーなどのおもちゃを並べることだけをやり続ける
- お気に入りのアニメの同じシーンを何度も見る
- いつも同じぬいぐるみのお世話をし、離さない
これらの遊びは自閉症の子供にとっては心地が良く、安心できる遊びです。
いつも同じ遊びをすることで気持ちを落ち着かせていることを理解しましょう。
同じ状態ややり方にこだわる
自閉症の子供は、同じ状態ややり方にこだわる傾向があります。
自閉症の子供はいつもの環境や手順が変わることが苦手なので、自分の中でルールが決められていることが多いのです。
例えば以下のような行動があります。
- 食事の時は、必ず決まった順番で食べる
- いつも同じ道順でしか歩きたがらない
- 特定の洋服しか着たがらない
- おもちゃの並び方が変わることを嫌がる
これらのこだわりは、自閉症の子供にとって安心して過ごせるための自己防衛のようなものです。
同じ状態ややり方にこだわる特性を理解しましょう。
感覚に無関心・または必要以上に反応する
自閉症の子供は、感覚過敏や鈍感さが目立つことがあります。
脳への刺激の伝わり方が、通常と違うためです。
感覚に無関心の場合、痛みや温度の変化に対してとても鈍感です。
そのため怪我や体調不良に気づかないことがあり、危険な場合があります。
感覚過敏の場合は、音や光、触覚に対して必要以上に反応し、強いストレスや不安感を抱いたりパニックになったりします。
自閉症の子供は感覚に違いがあることを理解しましょう。
社会生活できるために必要なスキルは?
自閉症の子供が社会生活を送るためには、トレーニングをしてスキルを身につける必要があります。
子供が最低限の基本的なスキルを身につけ、社会に出ていけるように、周囲の大人は適切にサポートをしていきましょう。
ここでご紹介する身につけるべきスキルは以下の2つです。
- 自律スキル
- ソーシャルスキル
詳しくみていきましょう。
自律スキル
社会生活に必要なスキルの1つとして、自律スキルがあります。
自律スキルとは、自分で身の回りのことをする力です。
自閉症の子供は苦手なことが多いため、周りの人もついお世話をしてしまいます。
でも、自閉症の子供自身が毎日の生活に必要な習慣を自分でできるように、周囲がサポートすることはとても大事なことです。
例えば、以下の日常生活のスキルがあります。
- トイレの使い方
- 着替えの仕方
- 食事のマナー
- 部屋の片付け
子供のペースに合わせて日常的に何度も練習をし、少しずつ自律スキルを身につけさせていきましょう。
ソーシャルスキル
社会生活にはソーシャルスキルも欠かせません。
ソーシャルスキルとは、社会に出ていろいろな人と円滑にコミュニケーションをとっていくために必要なスキルです。
人との基本的な関わり方ができていないと、コミュニケーションを取る上で様々なトラブルが起きてしまいます。
例えば以下のソーシャルスキルがあります。
- 順番待ちをする
- 「おはよう」「ありがとう」などの挨拶をする
- 遊びのルールを守る
- 気持ちをコントロールする
- 人にお願いをする
ごっこ遊びやロールプレイを取り入れて、ソーシャルスキルを身につけさせていきましょう。
自閉症の子供との接し方とは?基本を理解しよう
ここでは、実際に自閉症の子供とどのように接すれば良いのか、意識すべき基本的なポイントをいくつかご紹介します。
基本をおさえることで、一人一人に合わせた支援が分かるようになります。
理解しておきたい基本的な接し方は以下の4つです。
- 簡単な言葉・統一した言葉で話す
- 落ち着ける環境を用意する
- 興味の幅が広がる工夫をする
- スケジュールや手順を視覚的に伝える
詳しくみていきましょう。
簡単な言葉・統一した言葉で話す
自閉症の子供と話す際には簡単な言葉を使いましょう。
自閉症の子供は、長い文章や曖昧な表現は理解しにくい傾向があるためです。
例えば以下のように言い換えると簡単で分かりやすくなります。
「そろそろ出かける時間だよ、もう靴を履かないと間に合わないから急いで」→「出かける時間です」「靴を履いてね」
「今はしゃべる時間じゃないよ、大きな声を出してると恥ずかしいよ」→「静かにしましょう」
また、同じ意味を伝える場合は「同じ言葉を使う」ことで、子供は理解しやすくなります。
例えばトイレに行く時は「トイレに行こう」で統一しましょう。
「お手洗い行こう」や「トイレの時間だよ」などと言葉の種類が増えると混乱することがあります。
自閉症の子供へは、簡単で統一した言葉で話すことを意識しましょう。
落ち着ける環境を用意する
自閉症の子供には落ち着ける環境を用意してあげることが大切です。
自閉症の子供は環境の影響を受けやすい傾向があるためです。
例えば、以下のような環境の工夫があります。
- 苦手な音や光、匂いを減らす
- 疲れた時に休める場所を用意する
- 子供が慕っている教員を側につける
- 万が一パニックになっても安全な環境にする
このような環境があると、自閉症の子供はリラックスして過ごせるようになります。
自閉症の子供にとって落ち着ける環境を用意してあげましょう。
興味の幅が広がる工夫をする
自閉症の子供の興味の幅が広がる工夫をしましょう。
自閉症であっても、新しいことにチャレンジして世界を広げることは大事なことです。
まずは興味のあることを活かしながら、新しい遊び方に発展させたり活動の範囲を広げたりするといいでしょう。
例えば電車が好きな子供の場合は以下のような展開をしてみてください。
- まずは電車のおもちゃで遊ぶ
- 電車の絵本を読む時間を作る
- 電車をテーマにしたお絵描きをする
- 電車ごっこをして他のお友達と関わるきっかけを作る
決して無理強いはせず、子供のペースでチャレンジしていくことが大切です。
楽しみながら学べる機会作りをして、自閉症の子供の興味の幅を広げていきましょう。
スケジュールや手順を視覚的に伝える
スケジュールや手順は、視覚的に伝えるようにしましょう。
自閉症の子供は、耳で聞いたことよりも目で見た情報の方が理解しやすい傾向があります。
視覚的な手がかりを使って説明すると、子供の理解度はぐっとあがります。
例えばスケジュール表や手順表を作る際には、写真やイラストを使ったり、使用する道具を見せたりして説明の補足をするといいでしょう。
また終わった活動や項目は、裏返したり印をつけたりしていくと次の行動が分かりやすくなります。
視覚的な手がかりをたくさん活用して、スケジュールや手順を伝えましょう。
まとめ
自閉症の子供との関わり方を、よくある行動と共に紹介してきました。
関わり方にはいくつかの基本的なポイントがあり、そのポイントを理解することで接し方のコツが掴めます。
一番大切なのは「子供一人一人の特性を理解し、尊重すること」です。
子供の様子をよく見守りながら、その子に合った接し方を探してみてください。
まずはこの記事で紹介した基本的なことを理解し、子供のペースを大切にしながら一歩ずつ関係を築いていきましょう。
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