「認知症の初期症状は思い込みが激しくなる」と聞いたことはあるでしょうか。
現在の超高齢社会の日本で、いつかは自分や家族もという不安もあると思います。
本記事では認知症の初期段階で、思い込みがどのように激しくなるのか、具体例と対処方法について解説します。
認知症への理解を深め、いざとなった時に適切に対応できるよう、参考にしてくださいね。
認知症の初期症状で思い込みが現れる具体例
認知症の初期に現れる思い込みの症状には、どのようなものがあるのでしょうか。
具体的な初期症状の例を5つご紹介します。
- 被害妄想
- 幻覚や見間違い
- 物盗られ妄想
- 見捨てられ妄想
- 嫉妬妄想
- 迫害妄想
(参考:フランスベッド)
被害妄想
被害妄想とは事実でないことを本当のことだと思い込んでしまう、認知症の症状のひとつです。
アルツハイマー型認知症によく見られます。
認知症になってしまった苦しみや不安、寂しさや焦る気持ちなどが、被害妄想に繋がる原因であるといわれています。
家族の献身的なケアをありがたいと思っているものの、負い目も感じているのです。
自信を失ったり自尊心が傷ついたりなど、複雑にいくつもの感情が絡まって現れる症状です。
家族や周囲の人の話したことや行動が、発症のきっかけになるといわれています。
幻覚や見間違い
幻覚は実際には存在していないものが、本人には現実にあるように見える症状です。
本人が見たと訴えても、周囲の人には何も見えません。
幻覚は物忘れの症状が比較的軽い人によく見られ、見えたものは時間が経っても忘れずに覚えている場合が多いのです。
見間違えは現実に存在するものが全く違うものに見えてしまう症状で、どのように見えるかは人それぞれ異なっています。
脳の後ろ側(後頭葉)の血流が悪くなるのが原因で、レビー小体型認知症に多く見られます。
見間違いは日々の暮らしの中で誰にでもありえますが、レビー小体型認知症の人は見間違いの頻度が高くなるのです。
目に入ったものを全く別のものと認識してしまったり、ものが歪んだり、曲がったりして
見えてしまう場合があります。
物盗られ妄想
物盗られ妄想とは、自分でしまい忘れたものや置き忘れたお金や品物などを誰かに盗まれたと思い込んでしまう症状です。
「娘に財布を盗まれた」「介護士が大切なアクセサリーを盗った」などと、自分の近くにいる人を疑ってしまいます。
直接介護に関わる娘や介護職の男性など、日常の時間を共にする人が疑われるケースが多くあります。
つまり、親密な間柄であっても加害者の対象になってしまうのです。
認知症による記憶障害を絶対に認めたくないという気持ちが、物盗られ妄想が発症する原因と考えられています。
記憶障害があって役に立たない人と思われたくないために、盗まれたという妄想をしてしまうのです。
見捨てられ妄想
見捨てられ妄想とは、自分は認知症だから役に立たない存在だと感じ、家族に迷惑を掛けていると思い落ち込む症状です。
自分が家族にとって邪魔な存在と考え、家族から不要と思われ見捨てられたという妄想に発展します。
家族からは見捨てられてしまったと信じて疑いません。
信頼関係が崩れた家族と顔を合わせるのが不安になり、部屋に引きこもりがちになります。
コミュニケーションをとったり、身体を動かしたりする機会が減ると、さらに認知症が進行する場合があるのです。
筆者の亡母は認知症になって徐々に自信を失い、部屋から出ようとしませんでした。
人とのコミュニケーションの機会が減り見捨てられ妄想に陥っていたのかと思うと、切ない気持ちになります。
嫉妬妄想
嫉妬妄想は、配偶者やパートナー、家族が自分を見捨てて誰かと浮気をしてると思い込む妄想です。
例えば配偶者や家族が、ヘルパーや看護師に介護についての相談をしていると、浮気しているのだと誤解します。
仲良く話をしているだけで浮気をしていると強く思い込み、不安な気持ちに陥ってしまうのです。
見捨てられ妄想と同じように、役立たずの自分は必要とされていないと思い悩むことが原因になります。
嫉妬妄想は女性よりも男性に多いと言われています。
仕事をリタイアした男性は社会的な繋がりが、女性に比べて少なくなってしまうからです。
不安や孤独を解消するすべもなく、配偶者や家族に嫉妬をする方向に繋がってしまうのです。
迫害妄想
迫害妄想とは、他人から攻撃されるという不安を訴える妄想の症状です。
「自分は誰かに狙われている」「つけまわされていつか襲われる」などと思い込んでいます。
攻撃を加えてくる対象は、見ず知らずの他人・身近な家族・お世話になっているヘルパーなど様々です。
「自分は家族の重荷になっている」「ヘルパーから暴力を振るわれた」など、事実と反することをいかにもあったかのように話すケースもあります。
本人が認知症患者だと知らない人が聞いたら、本当に虐待や事件があると誤解してしまう危険性もあるのです。
認知症の初期症状で思い込みが現れた時の対応方法
認知症の初期に思い込みが激しくなる症状が現れた場合、どのように対応したら良いのでしょうか。
発症した本人に寄り添った適切な対応方法を、4つご紹介します。
(参考:フランスベッド)
- 否定しないで話を聞く
- 自信を取り戻すためのきっかけを作る
- 本人の訴えを受け入れる
- 時間をかけて丁寧に対応する
否定しないで話を聞く
まずは本人の話をしっかりと聞くようにします。
事実とは違う話をしても一切否定せず、本人の言うことを聞いてあげましょう。
妄想の出来事であっても、本人にとっては紛れもない事実であると信じています。
信じているものを否定されると、本人は混乱してしまうのです。
否定されることで怒りや悲しみを感じ、思い込みや妄想がさらに悪化する可能性もでてきます。
本人がどんなにおかしなことを言っても、一切否定せずに聴き本人を落ち着かせることが大事なのです。
自信を取り戻すためのきっかけを作る
本人が自身を取り戻すためのきっかけを作ることが大切です。
認知症を発症した本人は、今までと違う自分に自信を失い戸惑っています。
自分が将来どうなっていくか、不安で押し潰されそうになっている場合も多いのです。
まだまだ誰かの役に立つ存在だという、本人が自信を取り戻すきっかけを作ってあげましょう。
また達成感を味わえることに取り組んでもらうのは、よい対処方法です。
本人の得意なことや簡単な家事などの作業を、無理なくできる範囲でやってもらいます。
作業が終わったら「ありがとうございます」「おかげで助かりました」など、ねぎらいの言葉をかけてあげましょう。
本人の訴えを受け入れる
本人が何かを訴えてきたら、まずは受け止めてあげましょう。
話の内容がありえないような妄想であっても、本人にとっては事実であると理解することが大切です。
見えないものも本人には見えているし、あり得ないことも本人にとっては真実なのです。
頭から否定されると混乱し、反発・興奮します。
興奮して感情がもつれると、症状を悪化させる恐れもあるのです。
症状を進めないためにも、訴えを受け入れて本人を安心させることが大事です。
時間をかけて丁寧に対応する
時間をかけて丁寧に対応するよう心がけます。
認知症になると言葉が出にくくなったり、逆に饒舌になったりします。
話を聞くのが面倒ではあってもゆっくりと時間をかけて対応しましょう。
事実ではないことを、いかにも真実であるように話すのが、認知症の妄想です。
介護者には理解しがたい言動であっても、本人にとっては何らかの理由があるのです。
本人の訴えを否定せず、しっかり話を聞いて受け入れて一緒に解決する姿勢を示すとよいでしょう。
丁寧に時間をかけて対応することで、本人は自分が大切に思われていると感じ、症状の安定にも繋がるのです。
まとめ
「認知症の初期症状は思い込みが激しくなる」といわれています。
現状超高齢社会の日本で、いつ自分や家族が認知症になるかわかりません。
そんな時、認知症の初期症状について知っていれば安心ですよね。
本記事では認知症の初期段階で、どのように思い込みが激しくなるのかの具体例と対処方法について解説しました。
認知症への理解を深め、本人も介護者も安心して過ごせるよう、参考にしてくださいね。
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