発達障害をお持ちの大人への対応は?家族が気をつけるべきこと

 

「発達障害の大人には、周囲はどんなふうに対応すればいいんだろう。」

もし家族や職場の同僚だったら、どう対応したらいいか悩みますよね。

実は、発達障害をお持ちの大人への適切な対応方法があるのです。

本記事は、周囲や家族が発達障害の大人と向き合っていくうえで、気をつけるべきことを紹介します。

家族や職場に、発達障害の方がいて対応にお悩みの場合は、本記事を参考にしてください。

 

発達障害とは?三つの特性

発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害で起こるといわれていて、大きく3つのタイプ(特性)があります。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動性障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

それぞれ詳しく解説します。

 

自閉スペクトラム症(ASD)

発達障害の特性の1つに自閉スペクトラム症(ASD)があります。

自閉スペクトラム症は、対人関係やコミュニケーションが苦手で、特定のものへの強いこだわりを持つといった特性があります。

自閉スペクトラム症を持つ人は苦手なことが多く、日常生活や学業・仕事において悩みやトラブルを抱え込んだり、周囲から誤解されたりすることが多いです。

一方で、興味のあることには一生懸命取り組めるので、特定の分野で才能を発揮できます。

 

注意欠如・多動性障害(ADHD)

注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは、発達障害の一種の特性です。

特徴的な症状として次の3つがあります。

  • 年齢に見合わない「不注意さ」
  • 好きなこと以外に対する集中力がなく、ほとんど関心や興味を示さない「多動性」
  • 思いついたことをよく考えずに即座に行動に移してしまう「衝動性」

場に応じてコントロールすることが苦手で、さまざまな症状やミスや不注意などが目立つので、職場や家庭での日常生活に支障をきたす恐れがあります。

 

学習障害(LD)

学習障害(LD)の特性として、知的発達の遅れや聴覚・視覚機能の問題はありません。

しかし、「読み」・「書き」・「算数(計算)」などの、特定の課題が極端に苦手である状態のことを学習障害(LD)と言います。

最新の診断基準では名称が変わり、「限局性学習症(SLD)」と呼ばれるようになりました。

学習障害(LD)・限局性学習症(SLD)の特徴は、「読み書き障害」と「算数障害」の2つに大別されることです。

 

発達障害の大人への対応

特性を抱えた発達障害の大人には、どんな対応をすればいいのでしょうか。

主なことを6つ紹介します。

  • 生活や仕事におけるルールや役割を決める
  • 特性に合った仕事を任せる
  • 指示は文書にして伝える
  • 決まったことを急に変更しない
  • 必要なことは具体的に言語化して伝える
  • 音や光に過敏な人には配慮する

それぞれ解説します。

 

生活や仕事におけるルールや役割を決める

発達障害の方と安定した生活や仕事をするには、特性を生かした「生活や仕事をするための具体的なルールや役割を決めておく」ことが必要です。

一般的に当たり前なことでも、発達障害の方には理解が難しいルールが時々存在するからです。

たとえば、自閉スペクトラム症(ASD)の方であれば「ルールや役割分担を曖昧にせず、具体的に決める」ことで、スムーズに生活や仕事ができます。

また、注意欠如・多動性障害(ADHD)の方であれば「そのルールの必要性を理解させる」ことで簡単にルールを覚える場合もあります。

「ルールを決めたから大丈夫だろう」ではなくて、作業の進捗状況も確認しましょう。

 

特性に合った仕事を任せる

発達障害の方と安定した生活や仕事をするためには、特性に合った仕事を任せることや特性を活かすことが大切です。

発達障害の特性は仕事上の悩みになることもありますが、反面、特性を得意分野に変えて強みにもできます。

発達に凸凹があっても、それぞれの特性を活かして向いている仕事をまかせます。

 

自閉スペクトラム症(ASD) 注意欠如・多動性障害(ADHD)
仕事上での

悩み

・対人関係が苦手

・コミュニケーションが苦手

・こだわりが強く一つのことに集中しすぎてしまう

・感覚が過敏になりすぎて集中力を失ってしまう

・優先順位がつけられない

・マルチタスクが苦手

・仕事の期限を忘れてしまう

・興味のない仕事を放置する

・ケアレスミスや忘れ物が多い(ワーキングメモリの弱み)

仕事上での

強み

・決まった作業やマニュアル通り  に進められる

・正確な作業ができる

・一つの作業へ集中すると生産性が高い

・こだわりが強く集中力が持続する

・行動力があり思いついたことをすぐに実行する

・いろいろなことに興味を持ちチャレンジする精神がある

・興味のあることに集中できる

・創造性があり新しいアイデアが生み出せる

向いている仕事 ・軽作業での生産性を高める仕事

・長時間作業できるデスクワーク

・チーム作業ではなく、個人の成果が評価される業務の方がより能力を発揮できる

・ 多動性の傾向を活かし、身体を動かす営業

・フレックスタイム制など自分で予定を決めて働ける比較的自由な仕事が向いている

  向かない仕事 コミュニケーションを重視・臨機応変な対応を求められる仕事は苦手な分野となる 入力作業、書類作成などの事務職は苦手な分野となる

 

指示は文書にして伝える

発達障害の方と安定した生活や仕事をするために、指示は文書にして伝えることが重要です。

発達障害の自閉スペクトラム症(ASD)の人は、耳からの情報処理が苦手だからです。

耳からの情報処理が苦手で指示が聞き取りにくかったり聞き間違えたり、長い説明が途中で分からなくなったりする場合があります。

発達障害の注意欠如・多動性障害(ADHD)の人は同時に複数の情報が入ってくると、どれに注意を向けていいのか混乱してしまうのが特徴です。

工夫・改善のポイントとしては、指示は口頭ではなくメモやメールなどの「文書」で、ひとつずつ伝えます。

 

決まったことを急に変更しない

発達障害の方と安定した生活や仕事をするためには、決まったことを急に変更しないということも忘れてはいけません。

発達障害の方は、急なスケジュール変更や突発的な依頼があった時に、なかなか対応ができないからです。

もともと変化したこと自体に納得ができていない状態に、予定外のことが起きると瞬発的に「怒り」を感じてしまいます。

「怒り」を感じることでコントロールできなくなり、「パニック」につながる状態になってしまうのです。

「パニック」になりそうな原因や要因を、できる限りなくすようにします。

 

必要なことは具体的に言語化して伝える

必要なことは具体的に言語化して伝えることも、発達障害の方と安定した生活や仕事をするためには大切なことです。

文章での指示は受け取る情報量が多すぎると、理解できず混乱してしまうからです。

主に次の3つに気をつけます。

  • 指示する時は「具体的に・短く」を意識する
  • 注意指導の理由は、暗黙のルールも含めて具体的に伝える
  • 口頭で分かりづらい時は「文書・図・写真」を併用する

たとえば、「◯◯をしましょう」といったようにシンプルかつ具体的にいいます。

 

音や光に過敏な人には配慮する

音や光に過敏な人には配慮することも、発達障害の方と安定した生活や仕事をするために重要です。

発達障害の方の中には聴覚過敏や視覚過敏のある方もいて、他の人が気にならないような音や目から入ってくる刺激であっても、心身に影響を受けてしまうことがあるからです。

聴覚過敏の方には感覚刺激を低減するように対応します。

たとえば、イヤーマフや耳栓を使用するとかデスクの位置をなるべく静かな場所に移動するなど。

視覚過敏のある方には、次のような対策をし刺激を減らしていきます。

  • サングラスなどの色が入ったメガネや偏光グラスを使用
  • カーテンを遮光カーテンにする
  • インテリアをシンプルな色にする
  • 照明を間接照明にする
  • パーテーションで四方が囲まれた刺激の少ない空間を作る

 

発達障害の大人の家族が気をつけるべきこと

発達障害の大人の家族は、日常生活でどんなことに気をつけるべきでしょうか。

主なものを3つ紹介します。

  • 発達障害の特性を受け入れる
  • 相談先を持ち応援を受ける
  • 家族が「カサンドラ症候群」になることも

それぞれ詳しく解説します。

 

発達障害の特性を受け入れる

発達障害の大人の家族が気をつけるべきこととして、発達障害の特性を知り受け入れることが重要です。

「発達障害だから」「ASDだから」「ADHDだから」こうなっちゃうんだ、できないんだと思わないことです。

むしろ「困っているかもしれない」「理解しやすい伝え方はないかな?」「ストレスになっていないかな?」と、発達障害の特性を受け入れるようにします。

家族の存在は、仕事や学校で気を張ってストレスを抱えている本人にとって安心できる存在でなければなりません。

発達障害の大人が困っているとき、特性を受け入れるだけでなく、背景や現在の環境など複合的な要因があることも理解して接するようにしましょう。

 

相談先を持ち応援を受ける

発達障害がある人の家族は、接し方について悩みを抱えている場合が多くあります。

家族からの相談は、全国に設置されている教育センターや支援センターで受け付けています。

発達障害がある人が学校や会社で円滑に生活するためにも、家族だけで抱え込まず早めに相談し、個々のケースに合った接し方やアドバイスを受けましょう。

発達障害の大人の家族は、一人で抱え込まず相談先を持ち応援を受けることが大切です。

 

家族が「カサンドラ症候群」になることも

発達障害の大人の家族が気をつけたいのは、家族が「カサンドラ症候群」になるリスクもあることです。

発達障害を抱えている人の家族が疲弊して抑うつ状態になるなど、心身の不調いわゆる「カサンドラ症候群」になることもあります。

発達障害の特性から家族とうまく向き合えないことを、何とかしたいと思う気持ちが強くなってしまうからです。

家族に心の余裕が無くなれば、本人の行動や考えを受け入れることがますます難しくなります。

受け入れて貰えない本人は、混乱するばかり。

心身の不調がみられたら、精神科を受診し回復を優先することが大事です。

 

まとめ

発達障害の大人には、周囲はどんなふうに対応すればいいのでしょう。

家族や職場の同僚だったら、どう対応したらいいか悩みますよね。

実は、発達障害をお持ちの大人への適切な対応方法があるのです。

本記事は、周囲や家族が発達障害の大人と向き合っていくうえで、気をつけるべきことを紹介しました。

家族や職場に、発達障害の方がいる場合は、本記事を参考にして接してみてください。

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