「伊勢」といえば伊勢神宮ですが、みなさんはかつてのお伊勢参りに「正しい順序」があったことをご存知でしょうか。
まず夫婦岩で有名な二見ヶ浦で禊をし、その後伊勢神宮・外宮を経て内宮へ。
さらには、内宮を参拝した後に朝熊山(あさまやま)山上にある金剛證寺(こんごうしょうじ)を参詣するまでが本来のお伊勢参りとされてきました。
本記事では、朝熊岳金剛證寺についての基本的な情報を、御朱印のもらい方や場所・時間などと併せて紹介します。
伊勢志摩へお出かけの際には、ぜひ足を伸ばしてみてくださいね。
朝熊岳金剛證寺の基本情報
朝熊岳金剛證寺はその名の通り、三重県伊勢市の朝熊山(標高555m)山頂付近にある臨済宗南禅寺派の古刹です。
空海ゆかりの寺院でその歴史は古く、6世紀半ばに欽明天皇の命で創建されたといわれています。
昔から伊勢神宮の鬼門を守る「神宮の奥の院」といわれていて、「お伊勢参らば 朝熊をかけよ 朝熊かけねば片参り」と伊勢音頭の俗謡にも唄い継がれて来ました。
平安時代には弘法大師(空海)によって真言密教修行の一大道場として栄えたといいます。
ご本尊は日本三大虚空蔵菩薩のひとつとされる「福威智満(ふくいちまん)虚空蔵大菩薩」で、20年に一度の神宮式年遷宮の翌年にご開帳されています。
行き方
朝熊岳金剛證寺へお出かけの場合、所在地が朝熊山頂付近ということもあり、主に車やバス・バイクなどで鳥羽市〜伊勢市を結ぶ有料道路・伊勢スカイラインを利用することになります。
ですが、実はハイカーに人気の参詣道があるそうで、麓から徒歩で山頂を目指す方も少なくないというから驚きですよね。
朝熊岳金剛證寺への行き方をそれぞれ紹介しますので、ご自身に合ったアクセス方法の参考にしてください。
- 車・バイク
伊勢自動車道「伊勢西IC」より約20分。
(伊勢西ICから内宮方面へ向かい、伊勢志摩スカイラインを経由してください)
- バス
土日祝日・お盆期間・年末年始に限り、三重交通より「参宮バス(スカイラインルート)」が運行されています。
近鉄五十鈴川駅から2時間に1本の運行で、所要時間は約25分ほどです。
詳細は三重交通ホームページでご確認ください。
参考サイト:三重交通ホームページ
- 徒歩
登山がお好きな方は、麓から金剛證寺へ至るルートに挑戦してみてはいかがでしょうか?
近鉄朝熊駅から徒歩10分ほどの所に、昔ながらの参詣道のひとつ「朝熊岳道(あさまたけみち)」の登山口があります。
初心者でも約2時間ほどで登ることができるハイカーに人気の登山道だそう。
登山口には約40台が駐車可能な駐車場やトイレもあるので安心ですね。
参拝料
朝熊岳金剛證寺の境内は自由に拝観できるので、参拝料は必要ありません。
ただ、車やバイクなどで現地へ赴く際に通行する伊勢志摩スカイラインの料金(普通自動車1,270円)が必要となります(伊勢志摩スカイライン公式サイト上部にある割引券アイコンから割引券をダウンロード、もしくはJAF会員証提示で250円引きになりますよ)。
参考サイト:伊勢志摩スカイライン公式サイト
ご利益
朝熊岳金剛證寺のご本尊・福威智満虚空蔵大菩薩は「福威智」の名前の通り、「福徳・威徳・智徳」を司っています。
また境内に点在する像などにも、それぞれ身体健康・福徳智彗の増進・国土安穏などのご利益があるので、ご自身の願いに沿うものを見つけてみてください。
朝熊岳金剛證寺そのものが伊勢神宮の鬼門を守るお寺であるということから、非常に強い魔除けのパワースポットとの呼び声が高い場所となっています。
朝熊岳金剛證寺の御朱印について
ここからは朝熊岳金剛證寺でもらえる御朱印について紹介します。
- もらえる場所
- 受付時間
- 料金
以上の3点を確認していきましょう。
もらえる場所
朝熊岳金剛證寺で御朱印をもらえる場所は本堂と奥の院の2ヶ所で、それぞれ違う御朱印がもらえます。
御朱印は参詣・参拝をした証としていただくものであることを忘れずにいただきたいですね。
受付時間
境内は拝観自由ですが、本堂・奥の院ともに受付時間は9時〜15時45分です。
受付終了時刻が少し早目なので、時間に余裕を持ってお出かけくださいね。
料金
本堂、奥の院ともにそれぞれ300円です。
朝熊岳金剛證寺の見どころ
最後に、朝熊岳金剛證寺の見どころを4ヶ所紹介します。
- 摩尼殿(まにでん・本堂)
- 厄除け六地蔵尊
- 智慧寅と福丑
- 極楽門〜奥の院の卒塔婆林
境内の滞在時間はゆっくり時間をかけても1時間かからないほどなので、日常を忘れて散策を楽しんでください。
摩尼殿(まにでん・本堂)
金剛證寺の本堂は、別名「摩尼殿」と呼ばれており、国の重要文化財でもあります。
江戸時代には本堂が焼失しましたが、慶長14(1609)年に姫路城主・池田輝政の寄進によって再建されました。
元禄14(1701)年には徳川4代将軍綱吉の母・桂昌院による修復以降数度の修復を経たものが現存しており、桃山時代の様式を色濃く残す造りが特徴です。
厄除け六地蔵尊
別名「重軽(おもかる)地蔵尊」とも言われる厄除け六地蔵尊は、参拝の手順が決められています。
- まずお地蔵様を持ち上げて、静かに置きます。
- その後左に3回回しながらご真言を3回唱えます。
- 改めてお地蔵様を持ち上げて、最初より軽く感じたら願い事を聞き届けてくれたとされます。
「おもかる石」と呼ばれる石が重いか軽いかで願いが叶うかどうかを占えるといわれているものが、大阪の住吉大社などにもありますよね。
ただ、作法に気を取られ過ぎて願い事のし忘れにはご注意くださいね。
智慧寅と福丑
本堂前に、寅と丑の像が向かい合うように鎮座しています。
寅は「智慧寅」と名付けられ、ご本尊虚空蔵菩薩の智慧(知恵)を頂いたとされる像。
また丑の方は「福丑」と名付けられ、よく見ると各地の天満宮で見かける「撫で牛」とは違うのがわかります。
何と、この福丑の頭上には金色の大黒天が乗っているんです。
一度この丑に触れると、「心清く 意思堅固となる」「福徳智慧増進」「身体健康」のご利益が授けられるんだそうですよ。
極楽門〜奥の院の卒塔婆林
伊勢志摩地方では「岳参り(たけまいり)」と呼ばれる風習があります。
宗派を問わず葬儀の後には朝熊山に登り、金剛證寺の奥の院へ続く参道に卒塔婆を立てて故人を供養するというもので、もうひとつの「お墓」とも言えるでしょう。
ただ朝熊岳金剛證寺の卒塔婆は独特で、普段墓地で見かけるような薄くて細長いものではありません。
卒塔婆はどっしりとした角柱で、お納めする金額により背の高さや太さが変わります。
金額は3万円〜50万円、柱の高さは約2mから最も高いもので8mほどにもなるんですよ。
奥の院参道の左右に無数に建つ卒塔婆林の光景は、何ともミステリアスで現実離れしています。
かつては昭和の大スター・石原裕次郎さんや美空ひばりさんの卒塔婆も建っていた時期があり、建立された卒塔婆は6年で撤去・合祀されます。
まとめ
「お伊勢参らば 朝熊をかけよ 朝熊かけねば片参り」と唄い継がれて来た朝熊岳金剛證寺は、伊勢神宮の鬼門を守るという重要な役割を果たすお寺です。
本記事では朝熊岳金剛證寺についての基本的な情報を、御朱印のもらい方や場所・時間などと併せて紹介しました。
伊勢志摩旅行の際は、ぜひ立ち寄りルートに加えてみてくださいね。
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